それ人間の身を受けて
この世に生まれ来る事は
爪の上端(うわば)に置ける土
三悪道に堕ち入りて
苦げんに沈む輩(ともがら)は
大地の土のごとくなり
まして尊き仏法の
教えに親しく遇うことは
百千劫にも遇いがたし
かかる時節を失わず
必ず出離を求むべし
『発菩提心空拳章』より
◇
ある日、お釈迦様は足もとの土を爪の上に乗せ、弟子たちに質問しました。
「この爪の上の土と、大地の土、どちらが多いか?」
「師よ、それは大地の土です」
「そうだ、この世界に生まれる命は大地の土ほどあるが、人間として生まれる命は、この爪の上の土ほど少ないのだ」
◇
「地獄」「餓鬼」「畜生」の三悪道ではなく、「人間」に生まれて来ることはとても珍しく、希少なものです。
ましてや、人間に生まれ「仏教」にまで出会えるという確率は、とてつもなく低いものなのです。
そんな激レアな境遇に生まれた我々です。その事に感謝しつつ、「少しでも仏教を体験してもらえれば」と、そう願います。
最初は簡単なことからでも、
例えば、お寺の行事に参加するというのはどうでしょうか?
当山でも坐禅会や観音講など、色々な催し物を行っております。
まずは気楽に、お寺に足を運んでみてください。
自分で仏教の本を買って読んでみるのも良いでしょう。
仏教への興味が広がると思います。
各地の名刹に足を運ぶのも、素晴らしい。
普段とは違う心境が得られると思います。
仏教というものを色々と体験してみましょう。
爪の上端における土、
せっかく人間に生まれたこの命です。
1日、1日を無駄にせず、大切に生きていきましょう。