第21回 松の話


 

室町時代の禅僧に「一休宗純(いっきゅうそうじゅん)」という方がいました。

 

とんちの一休さん」でおなじみの、あの一休さんです。

 

ある時、旅をしていた一休さん。

 

村に立ち寄ると、そこで「ぐにゃぐにゃに曲がりくねった松」を見つけます。

 

一休さんは村人たちを集めて言いました。

 

この曲がりくねった松をまっすぐに見たものに、褒美をとらせよう

 

それを聞いた村人たち、「やった、褒美がもらえるぞ!」と、

 

なんとかして曲がった松をまっすぐに見ようと、知恵をしぼります。

 

片目をつぶって見てみる者、

 

股の間から顔を出して見てみる者、

 

寝っ転がって見てみる者、

 

近づいて見る者、

 

遠ざかって見る者、

 

村人たちはさまざまな方法を試しますが、誰一人、松をまっすぐに見ることはできませんでした。

 

そうこうしていると、大人たちが騒がしいのを聞きつけて、村の子供たちがやってきます。

 

そして、子供の一人が、曲がりくねった松を指さして言いました。

 

 

うわー、この松、めちゃくちゃ曲がってるね!

 

 

それを聞いた一休さんは、

 

 

見事! これがまっすぐに見るということじゃ

 

 

と、その子供を大いに褒めたそうです。

 

 

 

 

人間は、つい先入観や思い込みで、物事を考えてしまいます。

 

そういう「凝り固まった思考にとらわれるな」と、一休さんはこの話で教えてくれているのです。

 

曲がった松をまっすぐに見ることはできません。

しかし、まっすぐに見ることはできるのです。

 

思考に惑わされてはいけません。

 

皆さんも物事を「まっすぐ」に見られるようになりましょう。

 

それが、仏さまに近づく第一歩になるのです。

 

 

 

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参考文献

知識ゼロからの禅入門

幻冬舎 (2011/05/10)

ひろさちや(著)

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